食に関する疑問-3(東京のテレビ局からの調査依頼)2016/08/17(Wed)
♪ Part4の記述は、疑問・質問は Q で表わし、答は A で表します。
Q “鯛焼き”の歴史は?(“鯛焼き”を食べるときに、頭から食べる? シッポから食べる?)
A 両方ありです
「“鯛焼き”の歴史」:“鯛焼き”の原点は、今川焼にあるとされる説が有力です。“今川焼”は、江戸時代の1780年頃に神田の今川橋付近の露店で初めて売られたそうです。そして、“鯛焼き”が登場したのは明治43年(1910年)に、東京の麻布十番の“浪花屋総本店”(この店は、現在でも“鯛焼き”の名店です)。魚の形を含めていろいろな形の“今川焼”は、日本の各地で作られていましたが、縁起の良い鯛の形が、“鯛焼き”となりました。
「“鯛焼き”の焼き方、餡について」:古くからの焼き方は一尾ずつを焼き上げる焼き方で、これを“一本焼”、“一丁焼き”、“天然物”などとよんでおります。今でもこの焼き方に拘る職人やお客も多くおります。これに対して、複数の“鯛焼き”を一度に焼く焼き方を“養殖物”といいます。餡としては、小豆の粒餡が歴史も古く、また粒餡を好む人が多いようです。今ではクリームやチョコレート、キャラメルなど種々の中身があります。
「“鯛焼き”の餡のつまり方は?」:歴史的には、シッポには餡がつまっていない鯛焼きから始まり、また一般的でした。しかしいつからかシッポまで餡の詰まった“鯛焼き”が出てきました。
「シッポまで餡が入っていない鯛焼きのシッポの役割」:仕事で手が汚れたままでも手でシッポをつかんで食べられるなど、手で持つことができるためのものであることは事実のようです。この場合は、シッポを捨てます。また、餡のつまっていないシッポを食べる場合もあります。これに対しては、食べ終わったときに口を拭く役目、餡のつまったところを食べ終わったときに、残った口の中の甘さの口直しのために食べる、良く焼けたシッポのカリカリ感を楽しむ、などの理由があるとされております。
「シッポまで餡を入れた“鯛焼き”」:皮と餡のミックスした味を楽しむために、餡はシッポまで入れるべきであるという意見が強くなって来ました。ちなみに、東京の三大鯛焼き屋といわれる、前出の“浪花屋総本店”、東京・人形町の“柳家”、東京・四谷の“たいやき わかば”のいずれの店の鯛焼きも、今は頭の先からシッポまで餡がつまっております。このように、シッポまで餡がつまっているたいやきは、今は喜ばれているようです。
「シッポまで餡があるなしに関する議論」:“鯛焼き”は頭から食べ始め、餡のつまったシッポまでしっかり食べるべき、と言ったのが、演劇評論家の安藤鶴夫氏などです。それに対して、シッポまで餡が詰まっていない“鯛焼き”を大事にする、いわば守旧派としては、昭和20年代に新聞紙上で安藤鶴夫氏と“鯛焼き論争”をした映画監督の山本嘉次郎氏や広告評論家の天野祐吉氏、コラムニストの唐沢俊一氏などです。結局は、食べる人の好みでしょうね。
♪“鯛焼き”のどの部分から食べるかで、食べる人の性格がわかるといわれており、占いなどに使っている人もおりますが、心理学などの根拠があるのでしょうか。
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■参考にした情報・文献
フリー百科事典「ウィキペディア日本語版」2016年8月6日(土)12:31「たい焼き」
今川二重太、今川焼子「二重焼き、大判焼きに関連した歴史年表」
http://hb2.seikyou.ne.jp/home/my-morita/ni/how_to/ni_chronology2.htm
HILLS CLUB「通のおもたせ 浪花家総本店の鯛焼き」
https://www.ehills.co.jp/rp/dfw/EHILLS/gourmet/omotase/059/index.php?genreCord=0&no=59
(社)和食文化国民会議(和食ラボ) たい焼きやどらやきの名店をめぐる日本橋“甘酒横丁”おやつの旅「たい焼き 柳家」
http://washoku-lab.net/archives/10788
各駅停車 呑み食い処指南所「甘味 たいやき わかば」
http://kakutei.cside.com/food/index.htm
アル・ジャブル(株)(荒井信彦)コラム「“鯛焼き”から考える生活文化の変化と道具の機能の変化」
http://www.al-jabr.co.jp/column/98
OKASINOIE. Com「鯛焼きは生きてきました」
http://okasinoie.com/column/1126
So-netブログ 天野祐吉のあんころじい「鯛焼きの正しい食べ方」
http://amano.blog.so-net.ne.jp/2009-08-12